水。
「ラパ・ヌイ国立公園」のパークレンジャーはそう答えた。
「三つの火山をもち、海底が隆起することで出来上がったこの島には川がありません。雨がもたらす真水だけがこの島に潤いを与え、今日に至るまで命と命を繋いできたのです。中東などの地域では、人はオイルを求めて争っているようですが、それは“贅沢な争い”ではないでしょうか。なぜなら人にとっても動植物にとっても、水こそが唯一無二の資源だからです。」
国立公園からの帰り道、土砂降りに見舞われた。
草原にいた馬や牛は、僕らの乗ったクルマなんて見向きもせず、
道路に溜まった水を“必死に”飲んでいた。
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