世界一周ブログ -  「かわいい」禁止

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  • 「かわいい」禁止

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    【蝶の中に花がある】、【その一つが実は蝶になっている】などのディテールが潜んでいます。「かわいい」のひと言ですませてしまうと、その正体に鈍感になっていく気がしてしまうのです。

    突然ですが、「かわいい」という言葉を使わないようにしようと思います。

     

    なるべく。

     

    実は前にも「かわいい禁止令」を自らに課していたのですが、
    それを解禁してからというもの、あまりの便利さに負けていました。
    だって、「かわいい」と言っておけば済んでしまうことが多すぎるんですもの。

    でも、チェスキー・クルムロフという、
    あまりに「かわいい」街に行ってみて思ったんです。
    やっぱりこの言葉は使い勝手がよすぎる、と。

    この街にあるものは、何でもかんでも「かわいい」んですよね。
    だからAを見ても、Bを見ても、Cを見ても、感想は「かわいい」。

    「かわいい」と言えば言うほど、魅力の正体がぼんやりしてきて、
    「面白味を感じるツボ」や、「製作者の意図」など、
    「かわいい」の裏側に潜むものが見えなくなっていくな、と。

    別にそうなっても困ることは何もないのですが、
    文章に携わる仕事を好きでやっている僕にとって、
    それは料理人が煙草を吸うのと同じぐらい、
    自分の感覚を鈍らせてしまう自殺行為なのではないかと。

    そんなこといったって、他の形容詞だって同じじゃないかと言われれば、
    「まあ、同じですよね」と答えるしかないのですが、
    「かわいい」は対象物を選ばない万能選手であるが故に、
    いっそう危機感が強いのかもしれません。

     

     

    はらだいち

     

    チェスキー・クルムロフでは、街の隙間から塔が見える場所が点在している。このことが街歩きに宝探し的な面白さを加えてくれる。

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