世界一周ブログ -  回転式本棚を見た

帰国後
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    世界一周初心者のヨメブログです。

    中学生の時「アンネの日記」という本を読んだ。
    14歳の少女が書いたその日記は戦争の悲惨さを伝える作品でもあり
    私が得意としていた読書感想文のお題としては
    先生の点数を稼ぐのにピッタリのお題だと思ったのだ。

    宿の窓辺にてアムステルダムで購入したアンネの日記を再読中。あ、お隣はオランダビールですが?

    アンネは第二次世界大戦のなかを生きたユダヤ人の女の子で、
    ヒトラー率いるナチスによる反ユダヤ政策により、
    約2年間に及ぶ潜伏生活を余儀なくされた。
    ドイツ軍がオランダを占領し、
    ユダヤ人はユダヤ人だというだけで財産をすべて奪われ、
    そのまま強制労働所へ連行されていく世界。
    身を隠さなければ、アウシュヴィッツ大量虐殺用処理収容所で
    毒ガスにより命を奪われるかもしれない。

    オランダに移住してきていたアンネが実際に潜伏生活を
    していた建物が今もアムステルダムに残されている。
    本棚にカムフラージュされた隠れ家への入り口となる扉もそのまま残されていた。
    壁にひかれた子供たちの成長を記す背比べの線も、
    アンネが自室に飾っていたポスターも、トイレも、洗面台も、
    重い空気をまとったままそのままの形で残っている。
    そうなのだ、まだこの悲劇が起きてからたった70年ほどしか経っていないのだ。
    遠い昔の悲しいお話ではなくて、つい最近の出来事なのだ。

    アンネの寝室を見ながら、小学校のことを思い出した。
    担任の先生が女性だったから、あれはたぶん2年生だったと思う。
    ごくごく普通の登校日なのに
    父親が「今日は学校を休んで、みんなで銀座に行く」という。
    教育者である父親がそんなことを言い出すなんて、信じられなくて
    今でもはっきり覚えている。
    連絡帳に休む旨を書いてもらい、
    登校班のお友達に学校に持って行ってもらった。
    銀座では第二次世界大戦の展示をやっていた。
    父親が毎日読んでいる朝日新聞にその展示の記事がのっており、
    それが、今日までだったんだそう。
    展示会場には死体がごろごろしているような写真がたくさん飾られていた。
    まだ7歳くらいだった私は3つのことを鮮明に覚えている。
    捕らわれた人が自分で穴を掘らされ、その前に立たされ、銃で撃たれて死んで
    自らが堀った穴に落ちて埋められたこと。
    さんざん労働させられたあげくにシャワーを浴びさせてあげると集められて
    喜んでみんなで部屋に入ると天井についているシャワーヘッドから毒ガスが噴出して死を迎えたこと。
    人間の皮膚のあいだにある油分で作って使用されていたうすオレンジ色の
    固形石鹸がガラスケースにあったこと。
    どうしても子供たちに見せておきたいという父親の思いがずっしりと胸に届いた。

    小学校時代は授業で「火垂るの墓」を見たり、「はだしのゲン」を読んだり、
    国語の教科書に「ちいちゃんの影おくり」とか戦争の話がのっていたり、
    修学旅行では小学校でも高校でも広島に行ったりと
    戦争の悲惨さを嫌というほど刷り込まれた気がする。
    もう十分悲惨さはわかったから、もういいよ!そう思っていたことも事実。

    でもこうして大人になって、もっと知っておきたいと自ら思う時が来て
    足を運んだアンネの家の衝撃はじわじわと私の中に広がっている。

    *旅メモ*
    アンネの家はアムステルダム中央駅からトラムですぐ。
    歩いても15分ほど。
    入場料8.5ユーロ。
    昼過ぎに行ったところ1時間くらい列に並んで入場できた。
    展示見学もたっぷりあるので1時間ほど必要。

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