僕のヨメは大変だな、と我ながら思う。
「石橋をたたいて、壊して、泳いで渡る」ほどの慎重派。
猜疑心が強く、自分を信じすぎる。
そんな僕の性格は、インドの電車と最高に!? 相性が悪い。
車両に書かれたナンバーと、自分のチケットにあるナンバーが一致した電車に乗る。
ただそれだけのことなのだが、これがとても難しい。
僕らが待っている電車は12313。22:54発のニューデリー行。
どこのプラットフォームにいればいいのかは電光掲示板に書いてあるはずなのだが、
出発30分前なのにまだ表示がない。23時発の違列車は掲示されているのに。
駅係員に聞く。
四番ホームで待てという。
念のため、違う係員に聞く。
1番ホームの右側だと、自信満々に答える。
1番ホームにいる客に聞く。
きっとそれは三番だろうと教わる。
パニック!!
誰が正しいのか、さっぱりわからない。
ならば、「すべての電車をチェックするべし!」
電車がくるたび、あっちへ、こっちへ。
すると2番目に尋ねた駅員が「さっきはごめん。君たちのは四番ホームだ」と教えてくれた。
念のため電光掲示板を見る。
22:55発の12301という、下二桁が違うけど、行き先も時間も大体同じ電車が四番ホームに到着する。
四番ホームへ向かう。
何かがすごい勢いで燃えて、煙が充満しているが、火事にかまっているヒマはない。
四番ホームにいた紳士にチケットを見せる。
「ああ、これはこれからくる電車じゃないよ。番号違うもの」と言われる。
時、すでに23:20。12301到着。
念のため、到着した係員に聞く。同じ答えだ。
「もう、これに乗っけて!」と言いかけたが、ムダなことに気づく。
そして、去る電車。残された日本人夫婦。
きっと、あの係員は、僕らはこれに乗るもんだと思っていたのだろう。だとしたら、また振り出しだ。
電光掲示板に走る。
相変わらず表示はない。
係員に詰め寄る。「来たのは12301で、僕らの待ってる12313じゃなかった」
「いいから、四番ホームで待て。そのうちくる」
こうなったら四番ホームで待つしかない。
煙の充満した通路を通り、四番ホームに戻る。
もう、ここにいることにした。
23:35。電車が来た。
祈りながらナンバーを見る。12313!
何だよ。一番最初のを信じてよかったのか。
自作自演のドタバタ劇でした。ちゃんちゃん。
はらだいち
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