世界一周初心者のヨメブログです。
中国の東興に入り、なんとか市内の長距離バスターミナルまで来たものの、
バスに乗り合わせたおじさんに案内されるがまま、
チケットも買わずにワゴン車に乗り込むことになった私たち。
ムコにどうしようかと言うと、よく分からな過ぎるけどノッてみよう、とのこと。
ドキドキ、ハラハラが止まらない。
念のため、荷物がなくなっても糸口をつかめるように
バックパックを積み込んだバスの車両ナンバーをカメラにおさえてワゴンで移動。
着いたところはレストラン。
どうやら、夕食付きとは車内お弁当ではなく、レストランの食事のことらしい。
おじさんは香港の人でベトナムで10日間過ごして、帰るところらしい。
昔はコンサルティング会社の社長だったけれど今はリタイアしており、
息子二人がいて、彼らはニュージーランドで暮らしているらしい。
うーん、話してみても悪い人ではなさそうだ。
でも、旅で油断は禁物。
最初は親切な人ほど危なかったりするのだ。
よほど親切なのか、本当は危ない人なのか、どちらかだろうとムコと予想。
先ほど乗ってきたワゴン車がピストンで往復しているらしく、
ぞくぞくとレストランに人が運ばれてくる。
どうやらみんな同じ広州行の深夜バスに乗る乗客のようだ。
いかにも中国という感じのレストランの回転テーブルに料理が運ばれてくる。
お茶を湯呑におじさんが注いでくれた。
飲もうとすると、待った、の声。
湯呑のお茶はいったん箸を伝わせて、取り皿に移し、
テーブルに置いてあるボールに捨てる。
洗器という中国の礼儀で、箸やお皿をお茶で洗ってから使うのだそうだ。
テーブルに出されてる時点できれいな食器ではないのね。。
お箸袋にも“清潔一級”ってきれいであることがさもすごいことかのように書いてあるし、
礼儀であるとはいえ、洗うってなんか複雑。
その後も、ご飯はあそこで自分でよそってくるシステムだとか、
これは青菜の炒め物だとか、いろいろ親切に教えてくれるおじさん。
食事をしていると大型バスがレストランの横にやってきた。
すかさず車両ナンバーを確認するムコ。
どうやらさっき荷物を積んだバスであっているようだ。
「同じバスだったかい?」とニコニコおじさん。
私たちが食べ終わるのを待って、一緒に席を立って、
バスの扉前に一番に並んだおじさん。
私たちもおじさんの後に並ぶも、ここは中国。
順番に並ぶなんていう概念はございません。
バスの扉が開いてみんなが乗り込みだすと、あれよあれよと横から人が入ってきて
先頭に並んでいたおじさんの後ろにいたのに気づけばほぼ最後。
おそるべし、中国。
異国の地の深夜バスで不安もあるからムコと隣の席に座りたかったけど
早いもの順で席とられちゃってるかな、とちょっとしょんぼり乗り込むと
おじさんがバスの後部座席で手招きをしている。
なんと、一番に乗り込んで私たちの席を並びで確保してくれていたのだ。
わー、ありがたい。。
席にチケット代回収にやって来るバススタッフは英語が話せないので、
チケットをまとめて買ってくれるということでおじさんにふたりぶんのバス代460元(約5600円)を渡す。
おじさんへの不信感が薄くなりつつ、感謝しつつも、まだ完全に信用しきれない私たち。
11時間の長旅になるバスが出発して、時計が22:00を回ったころ、
突然バスが止まり、暗めになっていた社内の電気がいっせいにつき、
カーキ色の制服を着た人が乗り込んできた。警察だ。
大声で全員に身分証明書を出すように指示している。
なんとも、ものものしい雰囲気な上に、全て中国語で理解しきれずおろおろな私たち。
状況が分からないって本当に恐ろしい。
困っているとおじさんが英語で状況を説明してくれた。
私たちはパスポートを出す必要があるらしい。
警官は乗っていた中国人の身分証明書を確認して回り、
怖い顔つきのまま私たちのパスポートをを持ってバスを降りて行ってしまった。
何~??なんで私たちは身分証明書を取り上げられるの~?怖い~!
しばらくするとバススタッフが厳しい顔でやってきてバスの入口まで来いと言う。
「なんで呼ばれてるんですか?」とおじさんに聞いてみるも、
「わからない。とにかく来いって言ってる」とおじさん。
しょうがないので、貴重品などが入った荷物を全部持って、靴なども全部持って
バス入口まで向かうムコと私。
見ると、後ろからおじさんも自分の荷物と靴を全部持ってついてきてくれている。
バス入口には私たちのパスポートを手にした警察官が。
英語は話せるか?と警察に聞かれ、名前確認と顔写真の照合をしてパスポートを返してくれた。
「返してもらえました」とおじさんに伝えるとホッとした顔で「それはよかった」と。
おじさん、いい人かも。。。
名前と顔写真だけなら、何も呼び出さなくてもパスポート提示した時点で確認すればいいじゃん、と
若干納得がいかないながらも、自分の席へ戻る。
その後、チケットも購入してくれ、半券をくれた。
印刷された値段を確認すると、ちゃんとひとり230元でおじさんに払った金額通り。
ぼったくられてなんかいない。
そして、夜中、別のバスターミナルでお客さんが乗ってきた時、
スタッフが寝ていたムコを起こして席を移動するように中国語で言ってきた。
そもそも指定席ではないのだから、移動せよなんていうのが意味不明なのだが、
寝ぼけ眼で何を言っているのか理解できなかったムコにおじさんが起きて説明をしてくれ、
中国語でスタッフとしばらく激しく言い合い、結局ムコは席を移動せずに済んだ。
どうやら夫婦なんだから隣の席であるべきだ、など、いろいろ猛抗議をしてくれたみたいだった。
おじさん、いい人だ…!!!
数時間一緒にいていろいろ親切にしてもらいながらも、
どこかで疑いの念を持っていたことを本当に申し訳なく思う。
明け方、バスが広州バスターミナルに着いた。
車内アナウンスも何もなかったけれど、おじさんが「着いたよ」とムコを起こしてくれた。
終点駅ではなかったから、教えてくれて本当に助かった。
まだあたりは暗いので、おじさんは明るくなるまで近くのマクドナルドで
顔を洗ったり朝食を食べたりして時間を過ごすという。
バスターミナルは薄暗かったので、おじさんについていくことに。
朝マックのマフィンセット10元(約120円)をおごらせてもらって、
おじさんと話をしながら明るくなるのを待つ。
途中、コーヒーのお替りを持ってきてくれたり、もう、本当に親切すぎる。
別れ際、メモ用紙に自分の名前と携帯電話番号、家の電話番号を書いたものをくれて、
何か中国で困ったことがあったら電話するように、と。
もう、もう、もう、本当にありがとう、おじさん。
心があったかくなった中国初日の朝。
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